Firefox 3 のカラーマネージメント

採用されたカラーマネージメント

Last update: 2008-04-27

Firefox 3 にカラーマネージメントが採用されていることは既にご存知のことと思う。私が Firefox 3 に一番期待している機能が、このカラーマネージメントの採用だ。

Firefox 2.x はウェブページを制作する際の判断基準に使用できる、素晴らしいブラウザだと思っているが、使い始めた頃から画像の処理がおかしいと感じていた。個人サイトの方は面倒くさいので適当なところで済ませるが、それでも彩度が低くぼやけたような感じでレンダリングされる。同じ HTML を Safari で開いた場合、ほぼ満足できるほどの結果を得られる。よって画像の判断は Safari で行うようにしている。
Safari は Mac OS のベースにある ColorSync を有効に使用している純正ブラウザなので、アドバンテージがあるのは当たり前だが、それにしてもレンダリングの質を引き合いに出すと、悲しいかな Firefox は見劣りしてしまう。それくらい Safari のレンダリングはきれいなのだ。それだけではなく、印刷結果も優れている。
これは ColorCync との連携というアドバンテージだけでなく、アプリケーションの開発思想の違いが大きいと思う。
と、そんな思いをしてたので Firefox 3 のカラーマネージメント採用には期待を抱くわけなのだ。

前置きはこのくらいにして、実際はどうなのか試してみる。テストに使うブラウザは次のとおりFirefox 3.0 pre (Minefield)Firefox 2.0.0.14Safari 3.1.1判断基準をするページを作ろうと思ったが、ちょっと面倒くさいので ICC の Is your system ICC Version 4 ready? を利用させてもらった。
で、リンク先のページでは ICC Version 4 への対応を確認できるので、カラーマネージメントの有効無効を知ることが可能だ。
これはページ内で表示される下の画像で判断できる。A が表示される場合はカラーマネージメントが有効でICC version 4 と version 2 がサポートしている。B はややこしいが、version 2 のみのサポートだとこの結果になるようだ。C はカラーマネージメントをサポートしない結果だ。

Color management function result

各ブラウザの結果だが、画像をお見せするまでもなく、スタンダードな Minefield と Firefox 2.0.0.14 は C の結果となる。Safari はスタンダード状態でも当然ながら A を表示する。ここでカラーマネージメントができない Firefox 2.0.0.14 には一旦お引き取り願って、Minefield と Safari を比較してみる。

Minefield vs. Safari

どっかの信憑性に欠ける IT 系ニュースサイトの表題みたいだが(^^;
まず Minefield のカラーマネージメントを有効にする。ディスプレーはちょっとあてにならない Apple Cinema HD '23 だが、一応 DTP に使用できるくらいのキャリブレーションを、i1Display 2 を使って調整してある。
モニタのカラー調整が、ブラウザの表示結果を左右する大変重要な要素なので、できるだけ正しく調整しておくこと。

Firefox (3.0B5 か Minefield) のカラーマネージメントを有効にするには、ロケーションバーに about:config と入力してリターンキーを押す。すると「サポートしませんよ」という画面が現れるので、良いもんね!と言う方のみ、この先に進むことができる。
Filter の入力ボックスに gfx と入力する。すると2つの項目が表示される。これらがカラーマネージメントの設定となる。以下のテーブルはデフォルト情報

Preference Name Status Type Value
gfx.color_management.display_profile default string  
gfx.color_management.enabled default boolean false

gfx.color_management.enabled の設定を true に変更する。やり方はこの項目をダブルクリックするだけ。これでカラーマネージメント機能が有効になる。

Preference Name Status Type Value
gfx.color_management.display_profile default string  
gfx.color_management.enabled default boolean true

変更されたことを確認したら Firefox (3.0B5 か Minefield) を再起動する。これでカラーマネージメントが利用できる環境となるので、ICC の Is your system ICC Version 4 ready? を表示して結果を確認する。4つのパートが同じ結果となる(A)で表示されればカラーマネージメントが働いているということ。

ICC プロファイルを指定していない Minefield と Safari での結果

Minefield の表示結果は、4つのパートがほぼ同じ状態でレンダリングされている。厳密に言うと右肩のパートはもう少し暗くなるようだが、現在はサポートされていないのか、左側と同じ結果になっている。
あれ?以前は Firefox 3 だと左側パートの間に1ピクセルくらいの隙間が空いていたが、ぴったり並ぶように変わっている。妖精さんが…以下封印

Display Result= Minefield

Safari の表示結果は、上側の v4 プロファイル部分が Minefield に比べると若干暗めに表示されていることが分かると思う。
ちなみに Minefield のスクリーンショットを、Photoshop の色相・彩度を使って少しコントロールすると、だいたい同じになる。

Display Result= Safari

元のファイルと比べてみると Safari の方がより近くレンダリングしていることが分かった。ということで、Safari の勝ち。
ちなみに下の2つ、v2 の RGB はほぼ同じで Adobe RGB の部分は Safai, Minefield とも同じ結果だ。Adobe RGB のプロファイルをもつ画像に関しては、カラーマネージメントを有効にすることでほぼ完全な再現性を確保できるということだと思う。

さて、この結果だが、詳しい情報が分からないので憶測ではあるが、Safari にはプロファイルを指定する機能は用意されていないため、システムレベルで ColorSync を使ったマッチングが行われているのではないかと思う。
一方 Firefox は gfx.color_management.display_profile で ICC プロファイルを指定できるようになっているのだが、ここでプロファイルを指定していない場合はモニタの ICC プロファイルを参照しているようだ。なぜそう思うかというと、これも詳しい資料を見つけていないので憶測になってしまうが、gfx.color_management.display_profile にモニタのプロファイルを指定しても変化はなく、指定していない場合と同じ結果になるからだ。
色々検証してみたが、たぶんデフォルトはモニタプロファイルを使っていると見て間違いではないと思う。

追記:
デフォルト (空欄) ではシステムの sRGB プロファイルを使用するようです。
詳しくは新しいカラーマネージメントシステムのテストをご覧ください。

話は脱線するが、gfx というのは Firefox 2 系が採用している方式ではないのかな? Firefox 3 は Cairo をベースにした新しいレンダリングエンジンに変更されていると思うのだが、古い方も継承しているのか??
詳しい方、教えてください。

Minefield のカラーマネージメント有効による副産物

Toolbar background color

上の画像は gfx.color_management を有効にして再起動した Minefield だが、タイトルバーのバックグラウンドの上半分がピンクがかっている。これは Firefox 3.0 Beta 5 では起こらず、4月半ば辺りの Nightly から起こるようになったと思う。最初はこういう仕様に変更されたのかなと思っていたが、カラーマネージメントを有効にするとその部分に色が残ってしまうようだ。
因にこの色味はディスプレー調整の状態によって変化する。私の場合ホワイトポイントを D50 に設定しているので黄みがかったグレーになるはずだが、Minefield はピンクよりのグレー(というよりグレーがかったイエローピンク)で表示される。

で、この影響の困った点は全ての色に影響してしまうこと。HTML で使用する Web safe color なども影響を受けてしまい、けっこう外れた色になる。これに悩んでモニターのキャリブレーションを何度もやり直したが、Safari ではかなり正しくレンダリングされる状態においても Minefield では追従してくれない。これは Firefox 3.0 Beta 5 でも同様だ。
(微妙な違いだが、Minefield と Firefox 3.0 Beta 5 のレンダリング結果は異なる。Mienfield の方が若干彩度が低いように感じる)

カラーチャートを使ったテスト

この色の違いを見本用のカラーチャートで確かめてみた。HTML 版はこちら

Sample color chart

レンダリングの総意を比べた結果全部をお見せすることは無理なので一部だけ。左側が Meinfield、右側が Safari の表示結果だ。
Safari はほぼ満点といえるくらいの結果となっているが、Minefield は全体的に彩度が低く色相も若干ズレている。また黒色ポイントも違うようだ。
気にならない程の差の色もあるが、グリーンやブルー系は特に目立つし、グレーのコントラストもかなり違う。よって、CSS で指定したカラー、特にバックグラウンドではこの差が気になってし方がない。

これは gfx.color_management を無効にするとほぼ Safari と同じ結果になるのだが、そうなると配置した画像は Firefox 2.x と同じ結果に戻ってしまう。これはいただけない。
Web Safe Color でこの結果なものだから、ブラウザ対応カラーは更に違う結果になってしまうのだ。

プロファイルを指定してみる

モニタプロファイルの使用では満足できる結果にならないので、他のプロファイルを試してみることにする。
指定できるプロファイルは ICC プロファイル。Firefox 3 のカラーマネージメントを説明している文章で ICM を使用すると書かれていることがあるが、Mac では ICM プロファイルは指定できないようなので注意すること。

sRGB v4 プロファイル

レンダリングの総意を比べた結果2で、どのプロファイルを使うかが問題なのだが、せっかくだから ICC の sRGB_v4_ICC_preference.icc を試してみることにする。これは今のところベータバージョンとなっているので、利用する際は注意書きに目を通しておくこと。ダウンロードしたプロファイルは Photoshop でも利用するかも知れないので、保管先は Photoshop の Color Profiles に置いた。

結果はモニタプロファイルを使っている場合よりも改善されるが、やはり彩度が低い。また極端に違う色もいくつか見られる。で、このプロファイルを指定した場合は ICC のテストページのプロファイルサンプル画像にも大きく影響してしまい、全体的に彩度が下がってしまう結果となる。定義カラーの表示が改善されても JPEG 画像に影響が出るようでは元も子もない。

sRGB Profile.icc

システムに標準で用意されているので、ディレクトリは System/Library/ColorSync/Profiles となる。これは sRGB v2 プロファイルのことらしい。
で、結果だが、サンプル画像をお見せするまでもなく、ディスプレープロファイルの結果と全く同じ。プロファイルが有効になっている気がしない。

RGB Profile.icc

これも System に標準で用意されているプロファイル。細かいことは省いて結果だが、が限りなく彩度下がってしまい、マッチングどころの話ではなくなる。全く使い物にならない。

Minefield 用にカスタマイズしたモニタプロファイル

Minefield の表示結果だけを考慮したモニタプロファイルを作って保存、それを読み込ませてみた。ディスプレーに指定しているのは日常作業用のプロファイルで、Minefield 用のプロファイルではない。
結果は惨敗。指定したプロファイルではなく現在のモニタプロファイルで表示しているようだ。

比較テストのまとめ

まず、Minefield は開発途中のバージョンであるため、これをもって Firefox 3 のカラーマネージメントの結果とすることはできない。それは gfx が標準では無効になっていることからも、開発途中であることは分かると思う。
加えて、Firefox 3 のCairo は、製品版に向けてチューニングされる可能性もある。(今日は4月も後半なので、もしスケジュール通りにリリースされるのなら、これ以上は不可能に思えるが…)それと Mac 版としてどこまで真剣に対応してくれるかも不安。現行では ColorSync との連携がとれていないと思う。
ここまで検証してきてふと思いあたることが。もしかして gfx.color_management.display_profile でプロファイルを指定するのは Windows のための機能なのだろうか?システムレベルのカラーマネジメントが無い Windows で考えると、プロファイルを指定することは納得できる。

現状としての結論だが、Firefox 3 でカラーマネージメントを有効にする場合は、Firefox をコントロールできるほどのプロファイルを作らない限りプロファイル指定はしない方が良いと思う。定義カラーの結果には問題があるが、少なくてもプロファイルを含んだ画像では Firefox と Safari の結果にそれほどの違いは見られないからだ。
Firefox のカラーマネージメントについては今後も検証してみるつもりだ。今後、変更や運用上の情報が分かった場合は新しいトピックでお知らせすることにする。ということで、今回のトピックは終了。

追記

gfx を有効にして運用する場合は、できる限り正確なモニターキャリブレーションを行うこと。これを怠るとカラーマネージメントは裏目に出てしまう。
システム環境設定のディスプレー項目からの調整でもある程度のキャリブレーションは可能なので、安価なキャリブレーターを購入するくらいなら、システム標準の機能を利用した方が良い。また CRT モニタを利用しているなら、3ヶ月に一度ほどの割合で調整を行なうよう心がけて欲しい。これだけは神経質に行っても悪いことは一つもないのだから。

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